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『幸福な食卓』<みつまめ>


『幸福な食卓』 瀬尾まいこ  みつまめ ★★★

お父さんは「今日からお父さんをやめる」と言い出した。

お母さんは近所のアパートでひとりぐらしをしている。

お兄ちゃんは学校一の天才だったけど大学へ行かずに農業をしている。

私は…。中学生の私は梅雨がやってくるとあのときのことを思い出してごはんが食べられなくなる。


そんな4人家族のお話。

この家では朝ごはんを必ず家族そろって食べる、という習慣がある。誰かが早く出かけなければならない日は全員が早起きして食卓を囲む。だから、家族に宣言すべきことがあるときは、たいてい朝ごはんのときになされるのだ。

物語の中では悲しいことが起こる。それは私たちの日常にも起こりうる悲しくてどうしようもないこと。

でも、それを乗りこえさせてくれるのは『家族』なのだと。

無条件に私たちを愛してくれるのは常に『家族』であり、『家族』こそ私たちの原点なのだ。

そんなことを思わせてくれます。

ちなみに、この作者は現役の中学校の先生だそう。

それにしても作家とは残酷だなあ。

物語を鮮烈にするために、愛すべき登場人物を殺してしまったりするから。

でも、人が死ぬことによって、物語に深みが生じるのは事実なのです。

夜のピックニック<たけのこ>

どーも、たけのこです。


はじめて記事書くんでどーしてイイか分かりません。


なんでみつまめの書いた内容にかぶせようと思います。


『夜のピクニック』なかなか良かったですよ


確かに雑な感じはありましたけど、全体的にみれば全然オッケーです。

とにかく勢い、疾走感に溢れてサクサク読めるし、登場人物もイイ感じ(高見サイコーッ)、読後感もスッキリしていて好印象な作品です。


ただその印象に追付くだけの内容がないんですよね。

すごい美味しいんだけど薄いジュースみたいな。  

ゴクゴクいくらでも飲めるんだけど、どことなく満足できない…

高校生の悩みってこんなモン?       

こんなにあっさり解決できるのかな?なんて陰険高校生はギャップを感じました。


それはやっぱり、みつまめの言うように感情を表す表現に乏しいのが原因なんでしょうね。

みんな純粋で安易でイイ奴過ぎるんだよねぇ。…それが正しい高校生だとでも?まさかねぇ…。

高校生が読むにはイイとか言う人いるけど高校生ナメるなですよ

まぁ感情面が浅い分、ヘタに疲れさせることなく、純粋娯楽として楽しめるイイ本だと思われます。

採点するなら75点くらいかな。四つはやれません。


この作家さん(恩田陸)は構成、設定に関してはレベル高いみたいですね

『Q&A』も読んだんですけど、読者をぐいぐい引っ張る力はスゲーです。

ただ話の落としどころが、???って感じで、置いてけぼりを食った感じでした。後半失速、残念!

みたいな…。こっちはあまりオススメできません。うーん、53点!てか、みつまめ採点辛いねぇ。


僕は恩田陸さんを知らなかったんで、この2冊を読んだあとかなり若い作家さんかなー、なんて感じたんですが、後で人から『ベテランだよーッ!?』って突っ込まれてかなり焦りました(詳しく調べたところデビュー10年みたいですね。10年てベテランなの?)。


まぁ、若いって褒め言葉だよねー?だよねー?ってことで恩田さんファンの方許してください(笑)

それにしても昨年の大賞とのあまりの違いに驚き…。何かあったのか『本屋大賞』???

夜のピクニック<みつまめ>

夜のピクニック


『夜のピクニック』 恩田陸  みつまめ ★★★

みつまめです。

全国の本屋さんが「いちばん読んでほしい」という観点で選ぶ本屋大賞

昨年の受賞作は小川洋子の『博士の愛した数式』。

今年は恩田陸の『夜のピクニック』。


『博士の愛した数式』が本当にすばらしかったから、今年も本当に期待してたのです。

『夜のピクニック』のあらすじは…。


北高の歩行祭。

朝から次の日の朝までただひたすら歩きとおすという、恒例行事。

主人公は高校3年生の男の子と女の子。

ふたりはクラスメイトなんだけど、実は腹ちがいの兄弟。

つまり、父親の本妻の子どもと愛人の子どもなのだ。

お互い、意識しながらもひとことも言葉を交わしたことのないふたり。様々な思いを抱えたまま、歩行祭がはじまる。その一夜に起きる奇跡…。


こんな感じかな。

青春まっさかりの高校生が一晩中ただひたすら歩く…そのシチュエーションはワクワクするし、登場人物のキャラクターも悪くない。高校生の青臭さがよく出てる。おもしろいことはとてもおもしろいのです。

でも、全体的に雑な感じが否めない。

登場人物がどういう人間かもっと明確に描くべきだと思うし、登場人物の感情の動きの描き方が大雑把だったり、誤字脱字があったり。おもしろいけれど、「ジーン」と心に残るものに今ひとつ欠けるのです。

もったいないなあ、もっとおもしろくできるようなシチュエーションなのに。


でも、若い子には読みやすくて興味深い本だと思いますよ。とくに高校生なんかは。

現役高校生のたけのこもおもしろく読んだみたいだし。


本屋大賞は、とてもよい企画だと思います。

『博士の愛した数式』と出会えたのはこの企画のおかげだもの。

芥川賞や直木賞よりもより大衆的で親しみやすいよい物語が一般の人に紹介されていく。

来年もどんな本があがるのか楽しみ。

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