夜のピクニック<みつまめ>
『夜のピクニック』 恩田陸 みつまめ ★★★
みつまめです。
全国の本屋さんが「いちばん読んでほしい」という観点で選ぶ本屋大賞 。
昨年の受賞作は小川洋子の『博士の愛した数式』。
今年は恩田陸の『夜のピクニック』。
『博士の愛した数式』が本当にすばらしかったから、今年も本当に期待してたのです。
『夜のピクニック』のあらすじは…。
北高の歩行祭。
朝から次の日の朝までただひたすら歩きとおすという、恒例行事。
主人公は高校3年生の男の子と女の子。
ふたりはクラスメイトなんだけど、実は腹ちがいの兄弟。
つまり、父親の本妻の子どもと愛人の子どもなのだ。
お互い、意識しながらもひとことも言葉を交わしたことのないふたり。様々な思いを抱えたまま、歩行祭がはじまる。その一夜に起きる奇跡…。
こんな感じかな。
青春まっさかりの高校生が一晩中ただひたすら歩く…そのシチュエーションはワクワクするし、登場人物のキャラクターも悪くない。高校生の青臭さがよく出てる。おもしろいことはとてもおもしろいのです。
でも、全体的に雑な感じが否めない。
登場人物がどういう人間かもっと明確に描くべきだと思うし、登場人物の感情の動きの描き方が大雑把だったり、誤字脱字があったり。おもしろいけれど、「ジーン」と心に残るものに今ひとつ欠けるのです。
もったいないなあ、もっとおもしろくできるようなシチュエーションなのに。
でも、若い子には読みやすくて興味深い本だと思いますよ。とくに高校生なんかは。
現役高校生のたけのこもおもしろく読んだみたいだし。
本屋大賞は、とてもよい企画だと思います。
『博士の愛した数式』と出会えたのはこの企画のおかげだもの。
芥川賞や直木賞よりもより大衆的で親しみやすいよい物語が一般の人に紹介されていく。
来年もどんな本があがるのか楽しみ。