扉をたたく人 | hirari

扉をたたく人

31歳になった。
30になるのは新しいステージに突入する感じがして楽しみだったけど、
31はものすごくいや、と言っていたのだけど。
昔つきあっていた男の子からSNSを通してメッセージが来ていて
「素数の年には新しいことが始まるらしいよ。
3でも5でも割り切れない1年を楽しんで」
と書いてあって、すごくすてき、と思った。
11、13、17、19、23、29、31。
思い返してみるとそんな気がする。
昔つきあっていた人に優しくされるのは好きじゃなくて
いやだと思うこともあったけど、
1年に1回だけこうやってSNSを通してメッセージが届く。
それはかつて一緒の船に乗っていて、
でももう別々の船に乗りなおした私たちが
遠く遠くですれ違って光を送り合うみたいな、
そんな感じ。
もう二度と同じ船に乗らないけれど、
あなたのことを忘れてはいないよ、という控えめなあいのしるし。


31歳の私は。
少し太って、二の腕がたくましかったり、

腰周りの筋肉が緩んでどっしりしてきた。
胸は痩せてちょっと垂れたような気がする。
首には「シェリ」のレアが言うところの真珠の首飾り。
目が少し腫れぼったくなって、
顔にはやわらかさがなくなってその代わり強い意志が張り付いている。
おー年取ったなあ、と思う。


この肉体で私はいままで生きてきた分以上の年月を生きていきたい、
のだからしっかりとこの肉体を鍛えておきたいなあ、と思う。
こんなことは昔は思いもよらなかったことだった。
強い心を内包する入れ物としての体もまた、強いものであってほしい。


体をしっかり鍛えること。
ときどきのランニングを継続したうえで、ヨガを始めたい。
談春の会にはなるべく行きたい。
大切な人と会い続ける。
過去にとらわれないこと、と占いの本に書いてあった。
本は読むけれど、本を過信しすぎちゃだめ。重く考えすぎないこと。
深く深く生きること。
会社の仲間ともいま親しくしている友人とも

このままずっと一緒にいられるわけじゃないんだから。
いま一緒にいられることの尊さを忘れずに深く深くつきあうこと。
なるべくニュートラルで素直な気持ちでいること。


「扉をたたく人」
記念に何か1本映画を見ようと思って。
閉ざされた心がノッキングドア、人との交わりで開いていく姿を

優しく丁寧なまなざしで描いた映画。
だけどもっと根底にあるのは

アメリカが抱える問題についてなのかしら。
人がいうほど、私は感情移入できなかったし、

すっきりしない気持ちだった。