「海のふた」「かけがえのない人間」 | hirari

「海のふた」「かけがえのない人間」

父のお祝いに家族でランチ。

非常にオーセンティックなフレンチ。


はまぐりを焼いたもの
ホワイトアスパラのオレンジソースがけ
北海道の人参スープ
イベリコ豚のソテーにポテトグラタン、温野菜クリーム添えたもの
イチゴのショートケーキ、バニラアイスとイチゴソースと一緒に


食事の途中で自然と昔話になり、
家族でドライブしたときのことや、
弟が子どものころにどれだけやんちゃだったかということを話した。
どこに行こうかと話していたら弟はハイハイでバギーに乗って待っていたことや、
観光地でクルマのキーをつけたまま、私がドアを閉めてしまったこと、
海に泳ぎに行った帰りに、砂浜にクルマがはまってしまってみんなでクルマを押したこと。
話しているうちに、私はすっかり小学生の気分になって、
お腹を抱えて笑いながら、急に泣けて泣けて仕方がなくって、
「やばい泣きそう」と思って、笑い涙のふりをして涙を拭ったのだった。
いまだに親の前で泣くのは恥ずかしい。
他人の前のほうがずっと素直に泣けるのはどうしてだろうか。
私はほんの10歳くらいで、だけどそのころの感覚をありありと思い出せるのだから不思議。
あのころ、父も母も本当に若かった。
弟はほんの小さなうるさくて元気な赤ちゃんだった。


帰りがてら川沿いをずーっと歩いた。
桜の花は3分咲きくらいか。
左右に出ているお店が楽しくて、花より団子のお散歩。


昼がご馳走だったから、
夜は出汁をとった残りの昆布とかつおぶしを煮詰めた佃煮をかけたお茶漬け。
よもぎの生麩を焼いたものを一緒に。


海のふた/よしもと ばなな
¥1,575
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「崖の上のポニョ」を思い出す。
大切なものは半径1m以内にある、そんなおはなし。
いろんな生き方がある。
だけど、本当は自分のまわりの人や自然みたいなものを
毎日大切に大切にして生きていけば、それだけで私たちはちゃんと満たさせる。
よしもとばななの本は時々構成が支離滅裂でおいおいと思うし、
これはちょっと説教くさくもあるけれど、それでも、
言葉の選び方とか、世界観とか、スピリットみたいなものが本当に素晴らしくて
いつも感心してしまいます。
お金は大切だけどすべてじゃない、とか。
自然が壊されていく悲しみとか意味のなさとか。
人生にとって最も大切なのは、自分を受け入れてくれる場所で
すべてを受け入れて、だけど日常に埋没しないで
自分がしたいことを欲張りすぎずに続けていくこと。
こんな風に書いてしまうと恥ずかしいくらい陳腐ですが。
私がここ何年か考えていることが、小説の中に散りばめられていて
彼女の言葉が心の中にすっと入ってきた。
かけがえのない人間 (講談社現代新書)/上田 紀行
¥777
Amazon.co.jp

先日参加したシンポジウムで上田紀行さんの話がめちゃめちゃ面白くて、
その場で買った本が弟からまわってきて一気に読む。
まるでわかりやすい聖書を読んでいるような気持ち。
易しい言葉で、今の日本が抱えている問題を机上の空論ではなく
自分の経験に基づいて書いている。
彼の生い立ちにまつわる話がまたすごいのだ。
お話もとっても上手で、彼の講演だったらまたぜひとも聞きたいと思う。