東京は冷たいところが優しいところ | hirari

東京は冷たいところが優しいところ

新宿のホテルの46階で
おさななじみの女の子の結婚のお祝いをした。


豚のリエット クルミと果物のソースがけ
甘鯛のソテー 筍のフリット添え
お祝いのイチゴショートケーキ


おさななじみ、というのもおかしな表現の私たちだけど、
もう20年近くもこうした関係が続いているので、
私には本当のおさななじみはいないけれど、
彼女たちをおさななじみと呼んでもいいのじゃないかしら、
と思った。


夜は西から友人が泊まりに来る。


アボカドのわさび醤油あえ
半熟卵のアスパラ添え
蓮根きんぴら
トマトとモッツァレラチーズのオリーブオイルがけ
あさりのただ蒸したもの
金目鯛の煮付け
菜の花寿司


白エビスで乾杯した後、
結局お土産の白ワインととっておきの赤ワイン「蔵」を空けてしまった。
あさりはにんにくも酒も入れないで、本当にただ蒸し焼きしただけ。
春の大粒のあさりだからこその
野性味あふれる味で、驚くほどおいしかった。
菜の花寿司もこの春、何度も作って大好きなメニュー。
菜の花と卵の色合わせにうきうきする。


女の子のおしゃべりは何を話していいのかわからないということ。
処女は一刻も早くなくしたほうがいいということ。
専門分野を持つということ。
やらなかったことを後悔しながら生き続ける女の子の話。
やりたいことは何でもやってみよう。
東京は冷たいところが優しいところ。


そう考えたら、私は後悔はないなーと思った。
いつでもなんでも一生懸命やってきて、
他の道を考えたことはあったけれど、
自分の道を歩いてきたらいつのまにかいまの私だった。
いまの私はどんな人生も受け入れていくだろう。
後悔はしないだろう。


いろんなことが終わったんだな、と思った。
私に絡み付いていたいろんなものがするするとほどけていく感じがした。


友人の到着を待ちながら料理をしていて、
まだまだ明るい窓の外を見て、
ああ、気づいたらもう春じゃないの、と思った。
春ですよー、わたし。
倦怠感に負けず、
この束の間の花咲く季節をしっかりと楽しむのだ。