シャイン・ア・ライト | hirari

シャイン・ア・ライト

ミック・ジャガーにキスしたい。


まあ、本当に魔女に誘われなかったならば

一生見なかった映画だと思う。
魔女はいつもそう。

私をまだ見ぬ世界につれていってくれる。

六本木ヒルズでビールを飲みながら

「シャイン・ア・ライト」を見た。
私はローリングストーンズを知らない。
どれくらい知らないかというと、名前しか知らない。
1曲もまともに聴いたことがないし、ボーカルの名前さえ定かではないくらい。
小説の中の青年が「ローリングストーンズ」を聴いている、
というのを読んだな、というくらい、私の人生とは無縁の存在。
そんな私が見ても、心から面白いと思える映画だった。


マーティン・スコセッシ監督が撮るローリングストーンズのライブ。
ただそれだけの映画なのだけど、
とにかくカメラのカット割り&編集がすばらしい。
そして何よりもローリングストーンズの

ライブパフォーマンスが最高にかっこいいのだった。
私は身悶えしながら、ときどき声をあげそうになりながら、
曲が終わるたびに拍手しそうになりながら、かなり興奮しながら見た。
3時間近い上映時間だったけれど、
終わってしまうのが惜しいくらいだった。

60すぎのミック・ジャガーはそれはもうめちゃめちゃかっこよくて、
体中からエネルギーが溢れ出ていて、
信じられないくらい美しい声だった。
セクシーで上品でキュート。
ぎゅーっと抱きついてキスしたいくらいに。


恵比寿の田吾作で焼き鳥をつついて熱燗を飲む。
私たちは彼らを褒めちぎり、
キャーキャーまるで女子高生のように感想を言い合った。
魔女は「彼らは妖精だ」と言った。
「人を喜ばすことだけを考えて、とってもピュアなのよ」と言った。
そして
「私も仕事がだいすきなの。だからあんな風にいつまでも楽しく
人を喜ばせるために仕事をしていきたいわ」と言った。
私も仕事が好き。
辛いけれど苦しいけれど、自分が情けなくなって逃げたくなることもあるけれど。


歌い続けること。踊り続けること。
その先にしか見えないものがあるのかもしれない。


後日、この映画の話をしたら、

うんと年上の男の人に、

「ストーンズはもっともっとかっこよかったんだよ。

あの映画を観てがっかりしちゃったよ」

と言われてびっくりした。

まじですか。

そんなの本当に惚れてしまいます。