にちようび | hirari

にちようび

国立博物館に行こう、フェリーニを見にいこう、友だちのプレゼントを探しに行こう、
と思っていたのに、結局どこにも行かなかった。
本を読んでは眠り、読んでは眠り、の繰り返し。
こんな怠惰な休日は久しぶりだと思う。
私は専業主婦にはなれないな、とつぶやく。
こんなにも何もしない1日を私は罪悪感なしでは過ごすことはできない。

夕方、少し涼しくなった頃、自転車で近所にお買い物。
この街に来てよかったことのひとつは靴を修理するお店があること。
ハイヒール好きで歩くのが好きな私は、すぐに靴のゴムをダメにしてしまう。
サンダルをふたつ取りに行って、商店街を東から西へ、西から東へ歩く。
この街は生きている。
子供がいて、おじいちゃんおばあちゃんがいて、若者がいて、家族がいる。
果物やではお客さんとの会話があって、

ケータイショップの中には夏休みの子供とその親がいて、

焼き鳥やのまえでは持ち帰りようの焼き鳥を焼いていて、

ツタヤにはお客さんがいっぱい。
私は長らく人々の生活が息づいた街に住んでいなかったのだな、と思った。
私には賑やか過ぎる、と思ったこの街だったけれど、それもまたよし。
私はいつかこの街が好きになるだろうと思った。

何もしていないから、せめて夕ご飯くらいゆっくり時間をかけて作ろう、と
ハンバーグの材料を買い込む。
合びき肉と卵と玉ねぎをまぜてこねた頃、電話。
じっくりと時間をかけて蒸し焼きにする。
届いた野菜を切って、
アスパラとトマトとバジルとなすのサラダ。

生まれて初めて作ったハンバーグは、
なんとも感動的においしく、ひとり150gのお肉をペロリと平らげてしまった。

私は料理は上手じゃないけど、
私が作った料理はおいしい。
それはけっこうすごい発見だなーと思ったのだけど、
なぜ私の料理がおいしいかというと、
それは愛の成せる技だと思います。
冗談ではなく、本気でね。
技はないけど、知らない人が作った外で食べるどんなご飯よりも
おいしいはずですよ。

かつて私の母もそう言っていた。
「お母さんのごはんが一番おいしい」
「そうよ、だって愛がこもっているからね!」

大事なのは愛ですよ、愛。
ごはんも、人と人との関係も、おうちだっても服だっても何もかも。