うつくしいひと | hirari

うつくしいひと

細く白い肩を見ていて、
私はこの細い肩に負けたんだなーと思う。
細い肩、すっと伸びた腕、手入れの行き届いた指、なめらかな肌、まるみがありながらもとがったあご、大輪のバラの花びらが零れ落ちるかのような笑顔。
圧倒的に美しい人を目の前にして、私は一瞬、言葉を失った。
そして見とれた。
そしてこんなに美しい人ともうこれ以上、私は戦うことはできないわ、と思った。
これ以上戦おうとしたら、私は壊れてしまうと思った。

そして言葉を失うような美しい女の人を目の前にして、
私は久しぶりにきれいになりたい、と思った。

女がきれいになりたいと思うのは、
男にふられたときではないと思う。
圧倒的に美しい人を目の前にしたときだと思う。

まるで恋をした男の子のように、美しい人の肩や笑顔が私の脳裏に焼きついて離れない。

さて。
きれいになりたい私がどうするか。
チョコラBBでもエステでもお化粧でもショッピングでもなく。
毎日、自分でごはんを作って食べて、朝顔に水をやり、たくさん水を飲む。
そして本を読み、お風呂に入って、身体を柔らかくして、たくさん眠るのだ。
毎日をきちんとていねいに健やかに生きる。
それが今の私にできる精一杯の努力かと思う。